本研究でこれまでに得られた成果を提案するアルゴリズム・システムとして利用してゆくための検討を中心に行い、成果をまとめた。システム利用の課題を可用性と応用実験を中心として他の関連アルゴリズムとの理論的および性能上の比較を行った。また多方面の応用課題を検討した。 21年度には提案アルゴリズムのシステム上の基本設計を終えており、22年度はこれの実装とデータを用いた実験を中心に進めた。これまでに検討してきた各種データに加えて、特に特に社会ネットワーク分析に関わる応用を取り上げ、これをマイニングする際の課題を検討した。本課題で検討してきた論理パターンの抽出とは別のアプローチに関する可能性も含め、今後の発展の可能性も見出した。多数の応用実験によって実装上のボトルネックとなるプロセスや他のアルゴリズムとの特徴的利点を得ることができた。特に構造的な複雑さに対する優れた性能を確認した。 他の関連分野として、グラフマイニング、時系列マイニングの分野のアルゴリズムについて理論的および性能上の比較を行った。特に、グラフマイニングは、本研究と同様に構造的対象をマイニング対象としており、性能と理論的位置づけを明確にする必要があった。グラフマイニングでは容易に扱える課題で、本アプローチでは対応が困難なパターンが明確になった。これは手法の限界でもあるが、新たな解決すべき課題の発見でもあり、新たなステップにつながる。
|