本研究では人間社会をモデル化したマルチエージェントシステムにおいて、個々のエージェントが相互作用を通じて自律的にふるまうための行動原理を人工知能の手法を使って形式化することを目的としている。具体的には、エージェント社会で想定されるさまざまな社会的行動、例えば、譲歩、妥協、取引、協力、競争などのそれぞれの場面で、エージェントが持つ信念をベースに、(1)どのような状況でエージェントがそれぞれの社会的行動を行うことを判断し(意味論)、(2)どのような推論を行うことでその判断が行動として実現されるか(証明論)、(3)エージェントの行動をどのように計算するか(計算論)を明らかにする。本研究ではこれらのプロセスを計算論理の枠組で形式化し、エージェントの意思決定のための基礎理論を構築する。
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