研究概要 |
本研究では,情報システムを用いて人間の認知過程に好影響を与え,知的能力の発揮を活性化するための支援内容を明らかにすることを主眼におくため,技術開発のみに陥らないようシステムの開発は適宜,被験者による運用評価をうけ,システム開発にフィードバックしながら進める計画をし立てた.平成20年度は,下記の項目に沿い概ねシステム開発とパイロット評価を実施した. 1.学習スキルオントロジーの構築(第一段階):メタ認知実施のノウハウ(メタ認知知識)は,潜在性・暗黙性が高く,文脈依存性が強いために,学習者間・学習者と指導者間での学習を目的としてコミュニケーション上で学習対象のコトとしてとりあげることが難しいという問題がある。学習プロセスの構成部品としての役割を担い,学びについての自己内対話に表現を提供する学習スキルオントロジーを構築し,(2)の可視化環境に組み入れた。 2.可視化環境の実装:(1)で構築した学習スキルオントロジーを用いて,他者の学習プロセスを視覚的に設計するための可視化環境を実装した。 3.ガイダンス情報生成機能の設計と実装:(1)で構築した学習スキルオントロジーと,(2)の可視化環境上で学習者が設計した学習プロセスに基づいて,学習スキル獲得を意識させる(自己内対話を促す)刺激を与えるガイダンス情報生成機能のプロトタイプを実装した。 4.システムのパイロット評価:上記(1)から(3)のプロセスで開発したシステムを,研究代表者が指導する学部3回生,4回生および大学院生を対象として運用し,主にシステムから提供されるガイダンス情報の妥当性についてパイロット評価を実施した。
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