研究概要 |
対話型遺伝的アルゴリズム(interactive Genetic Algorithm : iGA)は,人の感性情報を用いて最適化を行う手法の一つである.iGAでは,人間が遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm : GA)における評価の部分を人間が行うことで,ユーザの嗜好や勘といったこれまで数値化できなかった対象に対しても最適解を求めることが可能である. 本年度は,iGAの多目的モデルへの適用において,iGAを利用してトレードオフ関係にある複数の判断要素を自動的に抽出するアルゴリズムについて検討を行った.これを行うことにより,単一目的の最適化問題として対象となる問題を設定し,その単一目的が複数のトレードオフ関係を有するサブ目的から構成される場合においてもiGAを対応させることが可能となる. 提案アルゴリズムでは,一対比較を行い,それらの結果をAHPで分析し,矛盾点を探る.この矛盾点を解消する判断要素を見つけることで,その解候補が各判断要素に沿っている度合いを抽出した.また,それらの判断基準を基に最適化を行う場合,評価部において世代間の評価値の問題が存在する.その問題を解決するため,世代間の評価値スケールを調整する改良アルゴリズムも提案を行っている. 以上の提案アルゴリズムの有効性を検討するため,前者では評価エージェントを用いてシミュレーション実験を行い,後者は被験者実験により提案手法の有効性の検討を行った.これらの実験の結果から,複数の判断要素が抽出できる可能性とその結果を基に最適化が可能であることが明らかとなった.
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