研究概要 |
テンプレートマッチング法を用いて幾何学的変形に対応しつつ高速な探索を実現する手法を開発することを目的として研究を行なった。具体的な研究実績は以下の通りである。 1. 想定される幾何学的変形に関する検討 3次元空間中の物体をカメラで撮影した場合に、ロボットが入力画像から目的の物体を探索することを想定したときにどのような幾何学的変形に対応する必要があるかを、様々な画像を用いて検討した。幾何学的変換には回転、拡大・縮小、アフィン変換、射影変換といった様々な段階があり、次後ろのものほど自由度が高く、処理量も多くなる。その結果、変形の程度と処理量との兼ね合いを考えると拡大・縮小までが現実的であるが、アプリケーションによってはアフィン変換に対応する必要があることが分かった。 2. 指定領域の効率的類似度計算法の開発 申請者の以前の研究で開発した手法は、入力画像中のすべての部分画像と参照画像の類似度を、多項式を用いることで高速に計算するものであった。この手法は, 探索したい領域が入力画像のどの部分にあるのか不明で、しかも参照画像のアスペクト比が入力画像中の部分画像のアスペクト比と異なる場合には極めて有効である。しかし、実際に画像を探索する際には、アスペクト比は固定と考えて良い場合が多い。また、色情報を用いた探索等の方法を用いることで、入力画像中のどの部分に参照画像と似た部分画像が存在しているかがあらかじめ絞り込める場合がある。そのような場合には、全ての部分画像との類似度を計算する手法は効率が悪い。そこで、全ての部分画像との類似度を計算するのではなく、指定された位置とアスペクト比の部分画像のみを対象とした場合にも高速な類似度計算法を新たに開発した。
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