研究概要 |
本概究は,画像の特徴記述と,特徴記述に基づく画像処理システムの構築を目標としている.提案する画像の特徴記述法は,シフト不変な画像生成モデルに基づいている.このモデルは,いくつかの微細な画像構造のシフトと加算により,画像を生成するモデルである.提案法は,与えられた画像から,その構造要素を学習することで,これを画像特徴として画像を記述する.提案法では,各構造要素が,画像中に疎らに発生することを仮定することで構造要素の学習を行う. 本年度は,学習における計算量と記憶容量の削減を目標として,画像モデルの修正と木構造に基づく構造要素群の学習法を提案した.画像モデルの修正では,画像生成モデルを,一つのシフト座標で一つの構造のみが発生する画像生成モデルへ修正した.これにより,画像を構造要素へ分解する計算は,画像の小領域と最も相関の高い構造要素を繰り返しサーチする計算となる.このサーチを高速に実行するために,また,適切な数の構造要素を学習するために,構造要素群の学習に木構造を導入した.提案法では,一つの構造要素から構成される画像モデルから学習を始め,逐次,構造要素数を2倍に増加させることで,構造要素の木構造を生成している.木構造を用いることで,画像を構造要素へ分解するための計算量を,構造要素数の対数に比例する計算量へ削減することができた.さらに,画像生成モデルの応用として,不規則に画素の欠落した画像を復元する方法を提案した.提案法では,欠損の発生している画像から,画像の構造を学習すると同時に,欠損を補間することができた.
|