本研究で提案した「2次元連続DP(2DCDP)」とは、2つの画像の間で最適な画素間の対応を与えるアルゴリズムである。2つの画像の片方を参照画像とし、他方を入力画像とする。2DCDPは入力画像中に、参照画像の全画素が非線形かつ最適に対応する部分領域を与える。この入力中の部分領域は自動的に定まるので、参照画像に対応する部分を入力画像中から自動的に切り出すことができる。これを参照画像のスポッティングという。このとき、対応画素全体はそれぞれの画像において画像としての空間的相対関係を保っている。上記の機能の実現によって、画像中からの参照画像のセグメンテーションフリーな認識やレジストレーションが可能となることや、ステレオカメラから得られた画像間での画素対応による3次元画像復元、2つの画像におけるoptical flowの良好な抽出、医用分野では正常CT画像と検査対象のCT画像との相違点検出による異常部位の抽出、ビデオ画像中における物体のトラッキングなどの多様な応用が想定されることとなった。本年度はこれらの応用分野の中で、3次元画像の復元の実験を行った。撮影カメラのカメラパラメータの推定を必要としないfactorizationを3枚の画像間の画素対応点のデータに適用することで良好な3D再構成画像をえることができた。さらにoptical flowの抽出も行い従来法であるSIFTを用いたtrackingやKL-Trackerによるものに比べ高性能の結果が得られた。また、レジストレーションの応用として、CT画像の非線形画素対応を行いその画素対応の非線形の程度をベクトル場として表示し、異常個所の抽出実験も行いその有効性も確認できた。
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