'対応する色再現'を実現するためめ技術として、異なる色温度間の対応する色再現技術とカラー画像から光源の色度を推定する技術の開発を進めた。 1.異なる色温度間の対応する色再現 暗室中に二つの色評価用ディスプレイを設置し、左右のディスプレイの白色を異なる色温度に設定する。そして、画面の周囲にその色温度のグレイを表示し、中央にカラー画像を表示して比較する。各ディスプレイの原色及び白色の色度を正確に測定し、較正することができるよう、ミノルタの分光輝度計CS-2000を購入した。そして、ディスプレイの較正ができることを確認した。また、片側のディスプレイに二つの画像を切り替えて表示し、主観評価する実験を行なうためのソフトウェアを開発した。 テスト画像は、標準画像をハードコピーと考え、それぞれの白色の照明で再現される色に変換する。この場合、ある照明下ではディスプレイの再現範囲外になる色がないように、実験用の原画像の色域を狭く修正する必要がある。この画像修正を慎重に進めている。 2.光源色度の推定 二色性反射モデルでは、画像中の一定色領域の色が3次元の色空間内で、光源色と物体色の張る平面上に分布するため、2種類の一定色領域があれば、二つの平面の交線として光源色を求めることができる。しかし、この手法は、事前に画像を一定色領域に分割する必要があるため実用化できなかった。 今回、まず、この問題を2次元の色度空間の問題と考えると、ロバストなアルゴリズムを作成できることを示した。そして、画像分割が不完全であっても、そのロバスト性を利用し、多くの画像部分の性質から光源色度推定を行なう手法を提案した。 この不完全画像分割を実現するプログラム、及び、光源色度を推定するプログラムを試作した。また、テスト画像についての予備実験を行なった。
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