研究概要 |
'対応する色再現'を実現するための技術として、昨年度から行なっている異なる色温度間の対応する色再現技術のための主観評価実験を進め、様々な手法で不完全順応係数を計算した。その結果は以下の通りである。 1. 主観評価実験 暗室中に二つの色評価用モニタを設置し、左右の順応色温度をそれぞれT_1とT_2とし、左右の目が一方のみを観察するようにおき、順応する。そして、左の画面には順応グレイの中にT_1の画像を、右の画面に同じくT_1~T_2の間の照明に対応する画像を提示し、どの画像の色が左の画像に最も近く見えるかを被験者により主観評価した。 14名の被験者を使った昨年度の実験に加え、T_1とT_2が大きく離れている場合の評価の正確を期すため、T_1~T_2の間の画像数を増やした追加実験を同数の被験者により行ない、5,000K-3,000K、5,000K-4,000K、5,000K-6,500K、5,000K-9,000K、3,000K-5,000K、4,000K-5,000K、6,500K-5,000K、9,000K-5,000Kについての結果を得た。 2. 実験結果 実験の結果、次の事実が明らかとなった。 (1) (a)照明色温度の変化率、(b)照明色温度をmiredで表わした変化率、(c)カラーコンスタンシー理論の基づく分光反射率の変化率、の3つの単位で計算したが、従来の研究で期待されていた不完全順応係数の一定性、あるいは、対称性は見られない。 (2) 最もよく対応する画像の照明色温度は、二つの色温度の低い方に近い。 (3) 四つの画像で評価したが、画像への依存性は低く、どの画像でも結果は大きくは変わらない。 今後、対応する色再現を実現するには、新たなモデルを検討する必要があると考えられる。
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