研究概要 |
本研究では,これまでに我々が構築した小型距離画像センサを発展させ,200Hzの高速性や移動ロボット搭載可能な小型さは維持したまま,照度10万ルクスに達する屋外でも利用可能な高速距離画像センサを,レーザプロジェクタのレーザ波長・光学フィルタ,および信号処理の工夫により構築することを第一の目的としていた.この目的を,本年度ほぼ達成することができた.すなわち,晴天の屋外で,361点からなる距離画像を200Hzで計測可能なセンシングシステムを構築した.計測レンジは約2m程度である.レーザ波長に対応したバンドパスフィルタとローパスとを組み合わせることで太陽光の影響を極力除去しつつ,スポット像の位置の算出を工夫することで,高速かつロバストな計測を実現している.なお,構築するセンサとの比較を行う必要が生じたため,別の原理(Time of flight)を用いた市販センサを購入し,新たなレーザプロジェクタを購入する経費が不十分となったため,新規製作ではなく既に構築していたセンサを流用することで,レーザ波長が当初計画の830nmでなく785nmである以外はほぼ計画通りのスペックを実現した。さらに,本センサを用いて高速に環境の3次元モデルを構築する手法を確立することが第二の目的であったが,これに関しても一定の成果を得た.すなわち,小型距離画像センサシステムに高速カラーカメラを追加し,両カメラ間のキャリブレーションを行うことで,約40Hzのサンプリングレートで距離画像にカラー画像をテクスチャマッピングした画像をリアルタイム取得できるセンサシステムを構築した.構築したセンシングシステムは,その高速性と屋外での利用可能性から,移動ロボットの視覚として高い有用性を持つものであると考えている.
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