研究概要 |
平成21年度は,以下に示す3つの経年劣化ノイズについてノイズ抑制処理の高度化・高性能化を進め,下記の成果を得た. (1)フリッカーに対する抑制処理の研究開発 昨年度の手法(ヒストグラムの最大値と最小値を用いる方法)に対して,各フレーム画像の濃淡ヒストグラムの類似性を利用して濃度/コントラストを一定にすることでフリッカーを抑制する処理を開発した.その結果,昨年に比べて,濃淡がある程度飽和してしまっている場合でも改善が図られ,処理の耐性が向上できたと考えられる. (2)スクラッチに対する抑制処理の研究開発 モフォロジー処理による手法と方向性微分処理+拘束条件付きハフ変換による検出処理による手法を組み合わせた方法を開発するとともに,画像の領域ごとに処理を切り替える新手法を追加した.これにより,短いスクラッチノイズや画像の途から生じるスクラッチノイズも検出できるようになった.さらに,誤検出もなくなり不用意な画像のボケも生じなくなった. (3)ブロッチに対する抑制処理の研究開発 従来最も高性能(高画質)とされる神奈川大学の齊藤教授による手法とほぼ同画質の性能でかつ20倍の高速化を実現した手法の更なる改良を行った. 上記より,代表的な経年劣化ノイズをほぼ除去できる処理が完成した.引き続き,各ノイズ抑制処理の統合化を図るとともに処理の順序性についても検討し,システム全体の完成を目指す.
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