研究概要 |
平成22年度では,これまで開発してきた経年劣化の主な原因であるフリッカー,プロッチ,スクラッチ,フレーム微動に対応したノイズ抑制処理を統合し,ロバスト性が高く,かつ高速で実用性の高い処理が開発できた.一般的に,各ノイズに対応した処理での性能が高くても,統合すると他のノイズの影響を受け本来の画質を維持できなくなる傾向になるが,処理の順序性の検討や影響を受けにくいロバスト性の高い個々の処理を開発することにより高性能な統合処理を実現した. 具体的には,以下のポイントにより,他のノイズの影響を受けにくいノイズ抑制処理を開発した. (1) 独立なフレーム間・フレーム内の画像情報の相関性を積極的に利用することで高画質化と処理の簡易性(高速性)を両立させた. (2) 徹底的なノイズと画像信号との性質の違いの追求による効率的な画質改善,各種ノイズと各修復処理との関連性・影響性の分析による処理の干渉の防止によって統合化を図った. (3) 各ノイズ抑制処理における他のノイズの影響を調べ,処理の順序性を決定した. 実動画を用いたコンピュータシミュレーションにより,高画質かつ実時間で演算可能な高速な処理であることを確認した. 以上より,本研究の結果,統合処理の検討により4つのノイズを同時に軽減でき,1フレームに存在する複数のノイズにも対応できるようになった.今後は,実用化に向けたシステムソフト開発を進め,実運用による評価も行っていく予定である.
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