ものづくりにおいては金属が多用される。金属の表面反射特性は、鏡面反射と拡散反射を異なる割合で混じったものであると考えられる。このような表面を混合反射面と呼ぶことにする。本研究では、このような混合反射面に対して、拡散反射強度と鏡面反射強度を数値的に評価し、そして、統一的に3次元形状復元を行う手法を提案した。 本研究代表者らが以前提案した鏡面物体の3次元復元方法では、ステレオカメラとディスプレイを使用した。ディスプレイに横方向と縦方向の位相シフトを順次表示させ、ステレオカメラで観測することにより、鏡面物体表面の3次元形状を点群として求めることが可能であった。また、ステレオカメラとプロジェクタを使用した拡散反射面の3次元形状復元手法は以前から知られていた。 本研究では、混合反射面に対して、プロジェクタとディスプレイの双方を用いて、位相シフトを行った様子をステレオカメラで撮影する。撮影した画像の各画素に対して、その輝度に対して正弦波を当てはめ、当てはめられた正弦波の振幅および当てはめ残差を用いて、その比率をSN比とし、位相の品質を評価する。拡散反射表面であればあるほど、プロジェクタのパタンには強く反応する(SN比が高い)が、ディスプレイにはあまり反応しない(SN比が低い)。一方、鏡面反射表面であればあるほど、ディスプレイには強く反応する(SN比が高い)が、プロジェクタのパタンにはあまり反応しない(SN比が低い)。このSN比を用いて物体表面の反射特性を評価する手法を提案する。 更に、どちらか一方の位相情報のみを用いるのではなくSN比に応じて、両方の加重和の形で、3次元形状に関する評価式を立て、3次元形状の復元を行う手法を提案し、実験を行った。 上記の成果を、今年10月に行われる予定のコンピュータビジョンに関する国際会議に投稿した。
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