研究概要 |
本研究では、バイタルサイン(心電図、心拍数、血中酸素濃度)の情報に加えて、口腔機能(会話、笑い、摂食嚥下)と行動の情報により生活リズムを分析する。本年度は,バイタルサインセンサと口腔機能のセンサを組み込んだネックバンド型無意識・無拘束センシングデバイスを開発する。本年度の研究成果を以下に示す。 1)心電図R波の計測では、生体電気信号計測回路をワンチップに集積した組み込みシステムを製作し、ネックバンドに装着した乾式電極(ペースト不要)を介して心電図を誘導することに成功した。この乾式電極を装着することにより皮膚障害の低減が期待できる。首もとで検出した心電図R波と四肢誘導の心電図R波を比較した結果,心電図R波ピーク点の検出誤差は最大3.6ms(標準偏差S.D.1.8)であった。 2)頸部に3軸加速度センサを2個,心電図計測用電極を配置したネックバンドデバイスを試作して歩行時の3D運動と心電図R波の同時計測に成功した。3軸加速度センサ(Freescale社MMA7361L,±1.5G,感度800[mV/G])を両側電極部分のネックバンド外側に配置することで人の起き上がり、寝返りの検出が可能である。 3)接触型マイクロフオンをネックバンドに配置することで,首もとの皮膚表面から口腔咽喉音を検出する。口腔音には、呼吸音、音声、摂食・嚥下に関わる音情報が含まれ、それらの音の信号帯域は異なることから信号の時間的性質を利用した分析により分離する。20歳から90歳の被験者の口腔咽喉音を収集し,会話や笑いの周波数成分から、会話時間(発声時間),爆笑回数を計測する事に成功した。 4)7日間の口腔咽喉音の長期間計測から嚥下を検出することで食事の時間を見出すことに成功した。毎日の食事の時間より規則正しい食事が行われているかを評価する基礎データの収集に成功し、生活リズム分析が行えることを明らかにした。
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