研究概要 |
代表者は明るさ錯視を再現できる視覚情報処理モデルの計算機シミュレーション結果から,錯視発生機構が合焦エッジ抽出機能を有することを示唆し,これを実写画像を用いたシミュレーション実験で確認している.当該研究では,視覚情報処理モデルをハードウェア化の制約に合わせて改良し,合焦エッジ検出機能を有するイメージセンサを実現することを目的とする. 今年度代表者は,錯視発生機構のアルゴリズムを,現有のFPGAボード(アジリティRC-2000)及びGPU(NVIDIA GeForce 8800,開発環境CUDA)を用いて,アルゴリズムを並列処理する回路を構成し,錯視発生機能,合焦エッジ抽出機能に関して基本的な性能を有することを確認した.特にGPUは処理速度,コストの面で優れており,ほぼ実時間で処理できる結果が得られた(CPUのみの場合約9sec,GPUを用いた場合約50msec). しかしながら,錯視発生機構のアルゴリズムを,CMOSアナログ回路で実装する場合,従来の概念では配線の複雑さが課題となり,困難であると判断した.そこで,乗算回路を用いた多項式型の側抑制のための畳み込み関数の実現方法を考案し,シミュレーションによって基礎的な動作を確認したところである. また,前年度に試作したCMOSイメージセンサの画素回路,および周辺読み出し回路を含めたイメージセンサ全体の評価のため,マイコンを用いた汎用の試作チップ評価ボードを開発し,それを用いて試作イメージセンサの動作評価を行った.その結果、やや感度は低いものの,正常な撮像動作を確認した.
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