研究概要 |
代表者は明るさ錯視を再現できる視覚情報処理モデルの計算機シミュレーション結果から,錯視発生機構が合焦エッジ抽出機能を有することを示唆し,これをシミュレーション実験で確認している.当該研究では,視覚情報処理モデルをハードウェア化の制約に合わせて改良し,合焦エッジ検出機能を有するイメージセンサを実現することを目的とする. 今年度は,21年度にGPU(NVIDIA GeForce 8800,開発環境CUDA)を用いて構成した並列処理回路により実画像を用いた合焦エッジ検出実験を行った.カメラから50cmの所にピントを合わせた状態で,対象となるエッジ画像の距離を変化させたときの特徴点の出現数(計算機シミュレーションでは,本システムは合焦エッジに対して特徴点は出現せず,ぼけ具合に応じて特徴点の数が増加する)を測定したところ,計算機シミュレーションと同様の結果が得られた.特徴点の出現率50%を閾値とした場合,おおよそ44cmから75cmの範囲にあるエッジが合焦していると判定できる.この範囲はカメラの被写界深度等にも依存するが,実際の視覚系における合焦特性と比較検討する必要がある. また錯視発生機構のアルゴリズムのイメージセンサ上の処理回路での実装に向けたディジタル・アナログ両者の回路構成の検討を行い,列並列処理によって実現可能な見込みを得た.またその実現に必要なラッチ型コンパレータ回路とデュアルポートSRAM回路の試作を行い,正常動作を確認した.
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