研究概要 |
本研究では,次世代ロボットに必要不可欠な新たなモデリング手法の開発に挑戦している.ここでのモデリング手法とは,1. モデリングに不足しているデータを検出して,それを基にシステムを動作させてモデリングに必要な新たなデータを生成する機能,2. 大量の事例データの中からモデリングに必要なデータのみを選択する機能を持つ手法と定義している.本年度は,2. の機能を実現する中心的技術となる,多次元尺度構成法(MDS)に基づく写像推定法について検討した.3自由度マニピュレータを視覚情報を用いて制御する場合に取得したデータをisoMDS法,田口らが提案しているNMDS法を用いて処理した.これまでに得られた知見は以下の通りである.(1) isoMDS法とNMDS法の処理結果には差がない.(2) isoMDS法に比べNMDS法の方が,その内部計算アルゴリズムの特徴から,より多くのデータ数を扱える.(3) isoMDS法,NMDS法ともに,欠損データがある場合に,そのデータの欠落を反映したデータの低次元化が出来ない.従って,そのような状況下では,低次元空間のデータと高次元空間のデータを写像する関数を生成することが困難であることが判明した.そこで,今後は,近年,高次元空間のデータを,非線形の写像関数を用いて低次元空間のデータに変換する手法として注目されているGPLVM法やその改良法を本研究に適用する際に問題となる事項について検討して,上記1,2の機能を持つ手法を考案し,その有効性をロボットを用いた実験で検証していく予定である.
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