研究課題
研究目的(1)「力覚の伝達が可能な外科手術ロボット鉗子システムの開発」に対しては、昨年度に提案した、1自由度のマスタスレイブシステムに対するバイラテラル制御系を座標変換と共に2つ用いることにより導出した、多自由度ロボット鉗子の全方位の屈曲動作に対するバイラテラル制御則を適用して制御実験を行い、水平方向にも垂直方向にも位置、力ともにマスタとスレイブの追従性を確認することができた。したがって、本研究で使用している新しい全方位屈曲機構を搭載したロボット鉗子に対して、マスタとスレイブの間に時変の通信時間遅れが存在する下で2自由度のバイラテラル制御系を実現することができた。本手法では力センサを患者の体内に挿入せずにバイラテラル制御系を実現できるため、力覚の伝達が可能な外科手術ロボット鉗子システムの実用化に対して重要な意義を持つ。研究目的(2)「外科手術ロボット鉗子システムに対する医療ミス回避制御システムの構築」に対しては、縫合作業における手術手技を6種類に限定し、鉗子に貼り付けたひずみゲージとPHANTOM Omniの角速度から抽出した特徴量を用いて手術手技の識別を行い、さらに表面筋電位から特徴量を抽出した特異性特徴ベクトルから自己組織化マップ(SOM)を用いて通常操作と特異操作を判別する手法を考案した。腹腔鏡下外科手術を模擬したシミュレーションボックスを構築し、持針器と補助鉗子の2本の鉗子を用い、縫合針の刺入手技を対象として、手技の識別実験及び特異操作の判別実験を行い、刺入手技の識別においては84.6%の識別率が得られた。また、特異操作の判別においては、SOM上で約8割の確率で通常操作と特異操作を分類できることが確認できた。これに基づいて、手術手技において特異な操作が行われた際に、それを医師に提示することにより医療ミスを回避するシステムを構築可能であることが明らかとなった。
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http://www.k.hosei.ac.jp/mwrlab/