研究概要 |
本研究課題は,人間が生活支援ロボットと安全に安心してコミュニケーションするために,ロボットの対話と行動の機能を,ユーザの生活空間と行動習慣へ適応させる技術の開発を目的としており,これを達成するために三年間で3つのタスクを順次実現してゆくことで,この目的を達成する予定であった. 本年度は,予定通り,3番目のタスクを実現することに成功した.3番目のタスクは,1)生活習慣の学習と生活習慣に基づいた行動指示発話理解と行動生成の研究,2)これまでに開発した要素技術を統合する手法の開発,の二つであった. 上記1)に関しては,物体操作指示対話において,ユーザの持つ生活習慣などに関する信念とロボットが持つ信念の差異を推定するために,ロボットが能動的に発話を生成する手法を開発した.昨年度までの研究では,ロボットは受動的な学習のみしかできなかったが,能動学習により,学習に必要なインタラクションを少なくすることに成功した. 上記2)に関しては,ロボットが,ユーザの動作命令発話を理解して,移動や物体操作などの複数のタスクを選択的に実行できる仕組みを開発し,自律型双腕移動ロボットに実装した.これにより,本研究課題でこれまでに開発した要素技術を統合することが可能となった. また,このロボットで,日常的生活空間での自律的行動や人間-ロボットインタラクションの技術向上を目的にした学術的競技会であるロボカップ@ホームリーグの日本大会(大阪開催)では優勝とロボット学会賞受賞、世界大会(シンガポール開催)では優勝という華々しい成果を上げた.
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