研究概要 |
本年度は,触知覚による情報伝達の可能性の一つである「操作に対するフィードバック」に着目し,押しボタン型のスイッチを対象とした検討を実施した。これは押しボタンスイッチが数多くの製品で使用されており,そのスイッチに割り当てられる機能や目的が様々であるためである。そこで,まずスイッチの機能の点から,目的とする機能を果たすために操作のフィードバックが必要か否か,またフィードバック十分なフィードバックがあるかなど,スイッチ自体に求められるフィードバックの特性を,目的とする機能に対応させながら検討した。得られた結果に,コレスポンデンス分析法を適用して集約したところ,スイッチのフィードバックと機能の間に,「機能の種類」とストロークの長さが,「クリック感」にはスイッチ操作における重さ感が大きな影響を及ぼしていることを明らかとした。 ついで,押しボタンスイッチの物理的特性と操作感の関係を定量的に表現するために,まず従来から操作感の一般的指標とされている,万能試験機を用いたスイッチの加重-変位の関係を検討した。しかしながら,この測定は実際のボタン押し操作と比較すると,変位の速度が遅すぎる。そのため実際に押しボタン型スイッチを操作する速度での操作感を定量的に測定する方法が必要であると考えた。そこで,スイッチ操作時に指先に伝わるフィードバックを荷重計と自作の装置を組み合わせることで測定した。これにより,従来の検討ではなされていなかった荷重と時間の関係を定量的に把握することができた。さらに,押しボタンスイッチを操作してもらう被験者実験を行い,それらの主観評価に影響を及ぼす物理的特性を解明することを試みた。またこれと並行して,デジタルマイクロスコープを用い,各種材料のテクスチャの観察を行い,データ・ベースを構築した。
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