研究概要 |
山本研究の目的は,操作に対するフィードバック感覚や触知覚を利用することで,直感的に操作や情報が伝達できるインターフェースを実現することである。本年度は,押しボタンスイッチの操作感に影響を及ぼすスイッチの物理特性を明らかにすることと,触知覚による情報伝達が有効なパッケージ用触覚記号の提案を試みた。まずスイッチ操作のフィードバックに関する検討では,被験者実験によって,バネ弾性を有する押しボタンスイッチとゴム弾性を有するスイッチでは,操作感に影響を与える要因が異なることが確認できた。そこで重回帰分析法を用いて,操作感とスイッチの物理特性との対応関係を検討したところ,バネ弾性を有するスイッチ,ゴム弾性を有するスイッチともに,操作感の予測式を得ることができ,いずれの場合でも時間が操作感に大きく影響を及ぼしていることが確認できた。このことは,従来の荷重と変位のみによる方法では,十分に操作感を定量化できないことを示唆している。一方,触覚記号による情報伝達の検討においては,薬剤師がPTPシートを用いた薬剤パッケージの識別に困難を感じている点に着目し,薬剤師の調剤過誤を減らすことを目的として,規格の異なる薬剤の存在を触知覚によって伝達できる触覚記号の提案を行った。また服薬者に対しては,薬剤の種類を判別できる触覚記号や飲み忘れの確認ができるパッケージを提案した。
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