研究課題
本研究は、生理実験と数理理論を駆使して海馬局所回路網の情報処理メカニズムを理解することを目的としている。生理データより細胞の位相縮約モデルを同定し、神経回路の縮約記述を得て、その情報処理メカニズムの解明を行うものである。平成22年度は以下の成果が得られた。1.前年度までに、ラット海馬CA1錐体細胞の位相応答を測定し、これと同時に位相応答の測定した同一の細胞に周期外力を与へてスパイクタイミングの確率的挙動を計測する実験を行い、多数の実験サンプルデータを得ることが完了している。本年度は前年度に引き続き、これらのサンプルデータに対して我々が開発した「位相応答曲線の統計的推定アルゴリズム」を適用することにより、この統計的手法の有効性と推定した位相応答曲線の信頼性の検証を行った。これらの結果をまとめた論文を、国際学術論文誌(Physical Review E)に投稿した。現在、査読で指摘された問題点を解決するため、論文の訂正を行っている。2.前年度に引き続き、我々が構築した「神経細胞の位相応答曲線と情報符号化の関係を明確にするベイズ的枠組み」を1で得た位相応答曲線に適用し、ラット海馬CA1錐体細胞の特徴空間を求めた。これらの成果をまとめ、国際学会(CNS2010)で発表を行った。現在、論文の執筆中である。3.海馬の場所細胞の時間表現の歪みである「タイムオフセットカーブ」を、位相縮約モデルで説明する枠組みを構築した。1で得た海馬CA1錐体細胞の位相応答曲線を用いて、定性的にこのカーブを再現することができた。[連携研究者]東京薬科大学・生命科学部・教授 宮川博義 電気生理実験
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