本研究は、摂動実験と数理解析を駆使して海馬局所回路網の情報処理メカニズムを理解することを目的としている。摂動実験により細胞の位相縮約モデルを同定し、神経回路の縮約記述を得て、その情報処理メカニズムの解明を行うものである。(1)摂動実験のためのダイナミッククランプシステムを構築。(2)ダイナミッククランプを用いた摂動実験によりラット海馬CA1錐体細胞の確率的位相縮約モデルを推定。(3)ダイナミッククランプで実細胞による仮想回路を構成し、推定した確率的位相縮約モデルの有効性を検証。(4)推定した位相縮約モデルを用いて、海馬の場所細胞等の情報表現を説明。これらの一連の研究成果により、ボトムアップ的理解とトップダウン的理解が整合性を保って行われたことになる。
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