研究概要 |
20年度の主要な研究成果は、多様な型の不確実性をどのように表現し、統一したフレームワーク内で取り扱うかについての研究課題に関するものであった。特に、不確実性とファジィ性を伴う情報を表現するための統合フレームワークを提案した。これは基本的にはデンプスター・シェファーの証拠理論(Dempster, 1967; Shafer, 1976)およびファジィ集合の質量数決定の概念(Baldwin, 1992)に基づいている。提案したフレームワークでは、クリスプな値や区間、またはファジィ数、および多属性意思決定問題における不確実な主観的判断のような、数値的に不正確な情報を意味的に統一して表現することができる。これは最終的に、異なる型の不確実性を矛盾なく透明な方法で情報統合可能にすることである。 実際の観察によると、多くの多属性意思決定問題で必要となるのは通常、多様な情報源と不確実性を伴う証拠の集合である。さらに、そのような意思決定問題における不確実性の源は多種多様である。例えば、測定誤差から派生したり、正確な判断をするには意思決定者が能力不足なこと、情報不足、基準や評価があいまいなこと、などである。このように、本質的に重要なのは首尾一貫したフレームワークを持つことであり、意思決定を改善するためには異なる型や源を持つ不確実性の統合が必要である。 当研究の二番目の成果は、複数専門家による多属性意思決定を言語的に評価したことである。特に、我々は言語的多専門家意思決定モデルを開発し、その応用のケーススタディを新製品開発最前線での選抜評価において実施した。開発された選抜評価モデルでは、以前の研究に内在する制限を克服するだけでなく、ファジィ集合に基づくアプローチにより管理者が意思決定する際の柔軟性を維持していることも判明した。
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