研究課題
本研究では人とロボットが情動を伴う行動を基に双方向コミュニケーションを図る「インタラクティブ情動コミュニケーション」(IEC)の実現を目指し、人とロボットが相互に情動を伝え合うことで、ロボットに高い対人親和性を与えることが目標である。本研究は大別して、(1)強化学習による主観的情動行動学習、(2)身体動作に基づく客観的ファジィ情動推論、(3)インタラクティブ情動コミュニケーション、の3つの研究要素を含んでいる。そのうち、H20年度は、(1)と(2)に関して個別に検証実験を行ない、H21年度では、(3)の人間とロボットとの情動行動に基づくコミュニケーションを実現した。さらにH22年度では、これまでの成果を統合してIECにおける人間の心理計測に基づく感性評価を行った。H22年度では、特に人間の不快感を取り除き、癒し効果を与える情動表現の組み合わせや、被験者が作業に集中しているときの作業効率や情動の変化を計測する実験を行った。ヒューマノイド型ロボットと人間の情動は、Joy、Anger、Sadness、Relaxationの4つに限定して実験を簡略化した。情動を4つに限定したため、ロボットと人間の情動の全ての組み合わせである合計16パターンに対して実験を行い、SD法による主観的評価(アンケート)を中心に個人嗜好分析を行う評価実験を行った。この実験により、人間にとって親和性の高いロボットであることを印象付ける組み合わせを分析できた。さらに、IECの効果を正確に検証するために前述のアンケートによる主観的評価だけではなく、脳波計測による感性評価も実施した。被験者に不快を誘発するような環境を作り出し、ロボットが情動表現を行う実験では、ロボットがRelaxationを表現することで、被験者にもRelaxationを誘発することを確認した。また被験者にタスクを課し、ロボットが情動表現を行い介入する実験では、Angerをロボットが表現することで、被験者の作業効率を上げる効果を確認した。これらの実験により、IECは単に癒しを与えるだけでなく、より人間の作業の効率を向上するという新たな有効性を見出すことができた。本研究に関連する成果は、最終年度であるH22年度だけで2本の学術論文(いずれも英文誌)と、5件の学会発表(うち1件は国際会議)など多くの発表を行なった。さらに、現在、国内学会の論文集への論文投稿も行っており、現在査読中である。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
International Jourmal of Innovative Computing Information and control
巻: Vol.7 No.5(B) ページ: 2961-2970
Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics
巻: Vol.14 No.7 ページ: 852-859
http://www.ir.his.u-fukui.ac.jp/