研究概要 |
本年度では,特徴空間のタスク間知識移転方式を顔画像の認識に拡張するため,2次元の画像情報を効率よく追加学習・知識移転できる学習アルゴリズムを開発した.また,顔画像認識に適用し,個人認証,性別認識,年代認識の3タスクに対する性能を評価した.以下に成果をまとめる 1)前年度までに開発して・きた知識移転方式では,特徴ベクトルが二次元である場合(画像など),一次元ベクトルにいったん変換する必要があった.本年度では,二次元の特徴ベクトルをそのまま追加学習できるよう,二次元二方向線形判別分析を追加学習に拡張した.そして,過去のタスクで得られた特徴空間を新しいタスクに選択的に知識移転して,新しいタスクに対する学習性能を改善する方式を提案した.これにより,高速かつ省メモリな判別空間の追加学習が可能になるとともに,新しいタスクに対して,少ない訓練データで高い汎化能力を得られるようになった.また,判別ベクトル数と知識移転の判定閾値を自動決定するため,初期データに交差検定法夫を適用するアルゴリズムも組み込んだ 2)無償で提供されているORL顔画像データベースとSheffield顔画像データベースを用いて,個人認証,性別認識,年代認識の3タスクに適用し,マルチタスク学習方式としての性能評価を行った.その結果,性別認識と年代認識に関しては,個人認証で得られた判別ベクトルを知識移転することで,認識率が数ポイント改善されることを確認した.また,従来の追加学習型線形判別分析よりも高速な学習が行えることを示した
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