研究概要 |
平成22年度は本研究の最終年度にあたり,新しい予測モデルと神経生理学・解剖学的知見の導入による理論システムの完成,計算機シミュレーションによる提案システムの最終検証,実機環境における知的制御システムの性能検証を行った.本研究の成果は以下の通りにまとめられる. 1.平成20年度に提案した大脳情報処理模倣型強化学習システムにおいて,協調行動を創発する仕組みを改良した.具体的には,マルチエージェントシステムにおいて,他者の行動予測(一次予測)や他者からみた自己の行動予測(二次予測)をモデル化し,提案システムへ導入した.その結果,マルチエージェント環境におけるエージェントの協調行動の創発が促進されることがわかった. 2.ヒューストン大学工学部医用生体工学科Metin Akay研究室との共同研究を通して,提案システムへ神経生理学・解剖学的知見を導入した.その結果,神経生理学・解剖学的妥当性と工学的有用性を兼ね合わせたシステムの構築を行うことができた. 3.改良した提案システムの知的制御システムを開発した.同時に計算機シミュレーションを通して,提案システムのマルチエージェントシステムにおける協調行動の創発に関する再検証を行った. 4.平成20年度に設備費で購入したハードウェア(設備備品の自律移動ロボットe-puckと制御用パソコン),及び平成21年度に開発した知的制御システムを用いて,実機環境での提案システムの性能検証を行った.その結果,提案システムは実機環境において,オンライン処理や協調行動の創発が行えることがわかった.
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