研究概要 |
本研究の目的は、ブログ空間におけるコミュニケーションネットワーク生成メカニズムの解明であり、平成20年度にはブログ作者の動機が執筆行動に結びつき、その結果として読者による反応が発生する動機・行動・反応モデルを構築した。しかし、インターネットメディアの発展に伴い、ブログだけでなくSNSやロコミサイト、QAサイトの分析も必要となってきている。そこで、我々は、ブログ機能を内包したSNSに範囲を拡張してして研究を行った。 我々は、企業内SNSが企業の問題解決において果たす役割を考察している。まず,企業内SNSの利用に関する文献の調査に基づき調査仮説を設定し、調査仮説の検証および企業内SNSの有効性をより明確にするために,企業への構造化インタビュー調査と質問紙調査を行っている。その結果,企業内SNSが,導入以前は関与することのなかった多様な参加者の気軽な情報発信や議論を可能にすること,個々が抱える既存の問題と多様な参加者により提示される有効な情報を結びつけること,選択肢の候補を得る洞察段階や解決策を得る選択段階において効果があり素早い問題解決を可能にすることを明らかにしている。さらに,日記機能やQ&A機能,コミュニティ機能といった気軽な情報発信をサポートする機能が,「この場で相談してみよう」と思わせる親和の整った場を構築することに役立っていることを明らかにしている。また、企業内に限らず様々な目的をもったSNSについての分析も試みている。
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