研究概要 |
本研究は、情報セキュリティの相互依存性に着目して、情報セキュリティ・インシデンの経済的影響を定量データ等に基づいて明らかにすることを目的とする。具体的には、産業連関表を用いた分析により、情報セキュリティ・インシデントの産業部門間及び地理的な波及効果を定量的に分析するとともに、情報セキュリティの相互依存関係の構造的な変化を明らかにする。 この研究目的を達成するために、本年度は産業連関表を用いた産業部門間及び地理的な波及効果を定量的に分析した。具体的な成果としては、前年度から引き続き行った産業部門間の相互依存関係の分析をさらに進めた研究成果をまとめて米国で開催された国際会議において発表した(Tanaka,Hideyuki(2009),"Quantitative Analysis of Information Security Interdependency Between Industrial Sectors,")。この会議による論文発表によって、研究代表者が提案した新たな分析手法(産業別に情報システム依存度とセキュリティ対策度を取り込んで、前方連関分析と後方連関分析を発展させる手法)が産業部門間の情報セキュリティの相互依存関係の全体像を描き出す上で、有意義であることが国際的にも認められるに至った。次に、地理的な波及効果の分析を行った。当初、地域内産業連関表を用いた分析を進めていたが、地域間産業連関表が公表されたことを踏まえ、当該データに基づく分析を行った。
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