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近年、日本においては地域独自の文化・歴史・自然の価値を見直し、地域全体をフィールド(野外)ミュージアムと捉える取り組みが活発であるが、野外における展示・見学を基本とし、運用形態も多様であることから、それらの特徴を考慮した見学支援システムの研究は立ち遅れている。本研究の目的は、できるだけ多くの人が前述のフィールドミュージアムを楽しむことができるよう、UD (Universal Design)概念に基づき、現地見学の情報支援と、Web上での現地訪問前後の情報支援を統合したフィールドミュージアム支援システム(FMS)の構築法を明らかにすることにある。具体的には2つの研究目標(1)さまざまな利用特性をもつ見学者への配慮(2)見学者リレーションシップマネジメントに対して、岩手県内のフィールドミュージアムを事例とした実証的研究を展開する。最終の22年度は、これまでの研究成果を発展させ、城下町盛岡の伝統的建築物保存地域、遠野物語ゆかりの名所旧跡保存地域、丘陵地を生かした野外彫刻美術館における見学者やミュージアム運営者を対象にFMSの実証評価を実施した。これら利用者アンケート評価、行動観察やインタビュー等の質的評価、システムログ分析の結果から、多様な利用者層ごとの鑑賞行動特性やシステムの有効性を明らかにした。また、見学者や地域住民が発信するブログ等のユーザ生成コンテンツから関連情報を抽出・組織化することで、継続的にフィールドミュージアムおよび地域の情報発信力と魅力の向上に繋げるためのシステム機能とその運用の在り方について考察を行った。
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