1. 平成20年度は、これまでに実用化された技術や成功を収めた研究、あるいは国家的プロジェクトで重要課題として取り上げられている等のトピックスを抽出して、21世紀COEプログラムに採択された膳研究テーマの内容との比較検討を行った。さらに、最近の科学研究費補助金の分野ごとの採択状況をまとめるとともに、COEプログラムの研究リーダーの研究費採択状況を経年的に整理した。 2. 1985年度からCOEプログラムに採択されるまでの年度に科研費の取得があった所属機関を移動した研究リーダーを調べた。医学、生命科学、数学分野は移動した研究者の比率が高く、人文科学分野は移動が少ないことから、研究組織の違いなどが説明要因として挙げられることが明らかになった。また、重点研究または特定領域研究などの提案公募型研究費を取得したことのある研究リーダーと、基盤研究(S)・(A)または特別推進研究などの採択数の少ない大型研究の経費を取得したことのある研究リーダーとを比較した場合、生命科学や医学では「提案」関係の研究費が多く、情報、機械分野では「大型」関係の研究費を取得した研究者の比率が高い。生命科学などは、比較的評価の差が現れていない研究者(機関)が選別されている。また、人文科学、学際分野については、他分野に比べ評価の定着していない研究が比較的多く含まれている傾向があると考えられる。 3. このような傾向は、今まで統計的な推論に対応できるほど十分多くのサンプルで確かめられていないので、本研究のような定量的、定性的なアプローチが次第に成果を上げていることが示されていると考える。
|