研究課題/領域番号 |
20500245
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研究機関 | 沼津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
宮下 真信 沼津工業高等専門学校, 制御情報工学科, 准教授 (20443038)
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研究分担者 |
田中 繁 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (70281706)
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キーワード | 文脈依存的応答 / ゲシュタルト心理学 / 長距離水平結合 / 第一次視覚野 / 単純型細胞 / 複雑型細胞 / スパイク放電型神経モデル / 自己組織化 |
研究概要 |
カニッツアの三角形などに代表されるような、物理的には存在しない線分を補間して知覚する錯視現象は、大脳の初期視覚野における興奮性と抑制性の相互作用が関係していると考えられている。本年度は、はじめにサイン波状の視覚刺激をモデル網膜に提示して、網膜-外側膝状体(LGN)-視覚野4層経路の神経回路網の自己組織化シミュレーションを実行した。また、モデル視覚野4層における興奮・抑制性の相互作用の役割を調べるために、新たにスパイク放電型の神経モデルを構築した。文脈依存的応答特性は、視覚野での興奮・抑制性の相互作用によってもたらされると考えられるため、スパイク放電型の神経モデルは自己組織化モデルを2/3層まで拡張した場合での長距離水平結合を含めた細胞応答特性を調べるためにも重要な道具となる。本年度は、スパイク放電型の神経モデルを視覚野モデル4層までの経路に適用し、文脈依存に関係する刺激線分の長さチューニング特性や刺激コントラスト依存性について調べた。その結果、刺激コントラストが低い場合には、線分の長さを伸ばすと細胞応答はある線分長までは増加するが、さらに線分の長さを伸ばすと一定の値となることがわかった。一方、コントラストが高い場合には、線分の長さを一定以上に伸ばすと抑制性の相互作用の強度が興奮性よりも大きくなり、応答を最大とする刺激線分長があることがわかった。これらの結果は、生理実験とも良く一致している。また、4層からの入力を受ける2/3層には受容野構造に明暗の区別のない複雑型と呼ばれる細胞が存在するが、4層-2/3層間の神経回路網の自己組織化シミュレーションを実行し、2/3層の神経細胞の時空間出力特性を再現することに成功した。このシミュレーション結果に基づいて、2/3層における長距離水平結合の自己組織化数理モデルについて検討した。
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