局所適合セミパラメトリック平滑化と機械学習の融合として、Uダイバージェンスの逐次最適化に基づく密度推定量を提案し、その非漸近的誤差限界を導出すると共に、従来のノンパラメトリック核型推定量との数値的比較を行い、提案推定量が核型推定量を改善する場合があることを示した。 ヒト胎児発生に見られる調和の程度を見積もるための統計量として、擬等角写像に現れる歪曲度を用いることを提案した。調和をつかさどるメカニズムとして、胎児の臓器間に写像の存在を仮定し、その写像が等角写像となるように発生が進む、というモデルである。その歪曲度の分布を等角写像の元で導出する必要があるが、特に、写像として線形写像、ラディアル写像を想定した場合の歪曲度の漸近分布を導出した。この分布論的結果を用いることにより、異なる臓器間の調和の程度を比較することが可能となり、様々な臓器部位で、胎児発生の調和評価が可能となる。 ヒト胎児発生過程の多次元スタンダード曲線(標準曲線)も提案した。その曲線を用いて、異常診断に用いる楕円体も考案した。発生過程は多くの臓器部位が同時に相互作用しながら進むものであり、スタンダードの構築もそのような多次元の観点で作られるのが望ましく、この要請に応えたものとなっている。胎児の発育異常の早期診断に応用できる手法となっている。
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