本研究はこれまで研究代表者らが推進してきたMCMC法による空間点配置の統計解析法の開発を、ボロノイ・デローネイ空間分割配置の問題(これも研究代表者が進めてきた研究テーマである)に拡張・発展させることがそもそもの目標である。 最終年度のH22年度は、前年度に「ボロノイ・セル相互作用モデル」として提出した3パラメータへの拡張モデルについて検討し、種々のパラメータ値に対して計算機シミュレーションを行い、より広範囲の多角形分割配置が実現できることを確認した。そして、前年度に実施した疑似尤度法によるパラメータ推定を改良して、シミュレーション・データに対する解析を行った結果、配置の再生には十分満足な値が得られることが分かった。この結果については、2010年度統計関連学会連合大会、および第70回形の科学シンポジウムで口頭発表した。その後、実データへの適用の試みとして、ランゲルハンス細胞の多角形分割配置データを解析して、われわれの開発した手法が実データに適用できることを示した。そして研究成果を論文発表する準備を開始した。その他に、「MCMCとその周辺-空間統計と乱数を中心にして」と題する解説論文(石黒真木夫編:近代科学社から出版予定)を書いた。
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