間接質問法の一つであるItem Count法では、項目リストのうち「当てはまる項目の数」のみを回答してもらうことによって、個々の項目に関する回答者の情報を秘匿し、率直な回答をためらう項目についても、より偏りの少ない調査結果を得ようとする方法である。ただし「当てはまる項目の数」のみを回答してもらうと、実際に当てはまる項目の数よりも少ない数を回答してしまうという回答傾向があることが知られており、この過少回答傾向を補正することがItem Count法の成功要件の一つとなっている。過少回答傾向の原因の一つとしては、項目への該当・非該当の判断の明確さが考えられる。明確に判断できる項目のリストについては、「当てはまる項目の数」のみを回答してもらう場合と、個々の項目への該当・非該当を回答してもらう場合との間で差は生じず、判断があいまいになりやすい項目のリストほど差が広がるという仮説である。そこで平成20年度は、平成21年度に実施予定の実験調査のための予備調査として、項目のあいまいさをWeb調査によって調べた。まずItem Count法で用いる項目の候補として、明確な判断が可能と考えられる項目と、判断があいまいになると考えられる項目をそれぞれ20項目ずつ用意した。回答者には、個々の項目ごとにまず該当・非該当を回答してもらい、次に該当・非該当という答えを選ぶときに迷ったかどうかを回答してもらうこととした。調査はWeb調査専門業者に委託して実施し、全部で504名から回答を得た。その結果を基に、判断が明確な項目とあいまいな項目をそれぞれ16項目ずつ選び出し、平成21年度の実験調査のための項目リストを作成した。
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