研究概要 |
環境問題における統計的問題、特に発生源解析および微量環境化学物質測定の要因分析に現れる識別問題等を解決するためのベイズ的方法について研究した。また、開発した方法を実際の環境問題に適用し、方法の実用性を検証すると共に、環境問題自体の解決にも尽力した。 発生源解析については、発生源情報を拡充する目的から、食塩電解過程から生成するダイオキシン類(山本他,2008)、土壌中におけるPCBの挙動(東野他,2008)等について検討する一方、発生源解析の適用事例として、佐渡真野湾で採取した底質コアサンプルによるダイオキシンの歴史的変遷(村山他,2008)、ベイズ型重回帰モデルによる発生源寄与率推定(中村他,2008)等について検討した。また、ダイオキシン類による大規模汚染の事例として、神戸市に依頼された神戸港の問題について検討を完了し、その後、富山県から富山市運河の問題について依頼があり検討中である。富山市運河については空間データが整備されており、新たな発生源解析法開発の題材となる可能性がある。 微量環境化学物質測定の要因分析については、外れ値に関する検討を実施した後(柏木,2009)、計画した方法の試作版を作成した。今後、適用例を増やしながら、方法を完成させる。 その他、計画していた問題以外に、リスク評価に関する問題(林他,2009;Hayashi et al.,in press)、東京湾水質の長期変動に関する問題(安藤他,2008;二宮他,2009;柏木,2009)、降雨計測に関する問題(Kozu et al.,inpress)が新たな問題として浮上した。今後、これらの問題についても検討していく予定である。
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