研究概要 |
心筋細胞において,好気的条件では,血管から輸送される脂肪酸を酸素を用いて代謝することで高効率にATPを産生する.一方,嫌気的条件では,血管から輸送されるグルコース及び細胞内に蓄積されているグリコーゲンを解糖系で代謝することで,低効率ながらATPを産生する.平成21年度は,従来半球形状及びラプラス則を用いてモデル化していた心臓モデル,つまり細胞の長さと張力を心臓の内腔体積に変換するモデルとして,動物実験によって計測された実測値に基づいたモデルを構築し,また,これに伴って,成人モデルから乳児モデルへの変換に用いた変換係数について,総血液量及び体表面積比を用いた血管抵抗比を用いて,より現実的なモデル式を構築した.この結果,従来提案していたモデルで再現されていた動脈圧である54.3~88.1mmHgに対し,本モデルでは65.1~87.4mmHgとなり,より生理値に近くなっている.また,左心室,収縮末期圧,体積,拡張末期圧,体積は,13.4ml,88.0mmHg,27.2ml,6.1mmHgに対し,9.6ml, 88.2mmHg,17.9ml,3.6mmHgとなり,より乳児の標準値に近い値を再現することができた.このモデルによって,左心室内圧および冠動脈圧を一定の精度で再現できた.
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