研究概要 |
本年度は、スプライス部位にまたがるペプチド同定の理論構築の研究を主に行った. はじめに、2つのアミノ酸が結合したジペプチドのC-N結合エネルギー(20×20=400通り)を量子化学計算で求め(構造最適化およびエネルギー計算にはMP2/6-31G^<**>を使用),また一方で,ペプチドのその他の物理化学的特性を抽出しておき,それらの結果を帰納学習で統合することで,ペプチドのイオン強度を予測できることを検証した。この成果を利用すると,個々のペプチドの物理化学的特性値をもとに質量分析での検出されやすさを指標化することが可能になる.そこで,発現しているタンパク質を構成する複数のペプチドにおいて,それぞれがどの程度検出されやすいかを,ルールとして明示的に取り扱うことを試みた. 一方,発現ペプチドの検索にde novoシーケンス法を用いると,データベース中のデータに依存せずに発現タンパク質の断片的なアミノ酸の部分配列情報を直接明らかすることができる.そこで,(1)発現ペプチドの事前探索としてゲノムDNA配列に対して一般的なデータベース検索を行う,(2)発現が認められたペプチドが複数個存在するゲノム上のエリアを抽出する,(3)そのエリアに対して,ペプチドとしての検出されやすさの情報とde novoで実際に検出されたアミノ酸の部分配列情報をもとにスプライス部位予測を行い,スプライス部位にまたがるペプチドを検出する,というフレームワークを構築し理論的な検証を試みた.
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