放射線治療の効果を規定する因子として重要なものは1回線量、分割間隔、治療回数である。放射線治療の生物効果を表す指標として直線2次モデルが汎用されているが、このモデルでは1回線量と分割回数はパラメーターとして含まれているが、分割間隔と治療回数で表される治療期間が含まれていない。高精度に照射する方法が確立した近年、従来の分割照射とは様相を異にした、自由度の高い分割様式での照射が行われるようになっている。一般的に用いられている生物効果を評価する方法として、DNAの1本鎖切断と2本鎖切断を説明に用いたLQモデルがあるが、分割照射でのLQモデルは分割回数を盛り込んでいるが分割間隔または総治療期間は含まれていない。このため、短期間に治療を行う定位照射と、通常の分割照射の同等性をLQモデルから説明することはナンセンスである。本研究では時間関数を組み込んだLQモデルを作成し、自由度の高い様々な分割照射を生物学的に比較することを試みた。時間関数として4つの因子を含めた。1.照射決定から治療効果判定までの時間、2.照射決定から照射開始までの待機時間、3.週間の分割回数と治療回数から得られる治療期間、4.腫瘍の時間増殖関係を導入した。放射線治療に伴う細胞死を分裂死および間期死があるとして、両者を相補的な関係で組み込んだ。以上よりLQモデルを一般化したため、一般LQTモデル(General LQT model)と命名した。このGLQTモデルを用いることで時間軸に沿った照射後の細胞死の様子を、ボロノイ図を用いて観察できることを示した。
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