研究課題
(1)C末端領域のin vivoにおける機能解析;平成20年度の研究において、δ2受容体のC末端にPTPMEGの脱リン酸化酵素ドメインを融合させた分子を、シンドビスウイルスを用いてδ2受容体の欠損した小脳プルキンエ細胞に導入すると、障害されていたLTDが回復することが明らかになった。この所見はLTDの誘導において、δ2受容体からのシグナル伝達の下流にPTPMEGが位置していることを強く示唆する。小脳プルキンエ細胞におけるシナプス可塑性に、チロシン脱リン酸化が必要であるとの所見は今までに報告がなく、今後、PTPMEGの基質の探索を行う予定である。(2)N末端領域のin vivoにおける機能解析;平成20年度には、δ2受容体のLIVBPドメインのin vivoでの機能を明らかにするために、LIVBPドメインの欠失変異体(δ2△LIVBP)を、シンドビスウイルスベクターを用いてδ2受容体欠損プルキンエ細胞に導入し、phenotype rescue法により解析を行なったところ、非常に興味深いことに、δ2△LIVBPはLTDを回復させたが、形態的なシナプスの異常は回復させなかった。このことはδ2受容体のN末端のシナプス形成能とC末端のシナプス可塑性誘導能とが、1分子の中で乖離していることを示しており、この成果を論文として投稿した(Kakegawa et al. J Neurosci, in press)。δ2受容体のLIVBPドメインにシナプス誘導能があることは、LIVBPドメインがシナプス前部のタンパク質と結合している可能性を強く示唆しており、そのカウンターパートを今後探索する。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Journal of Neuroscience 28
ページ: 1460-1468
Keio Journal of Medicine 57
ページ: 105-110