本研究では、図形の大きさを区別することにより大小の概念を形成するような認知機能に関する神経メカニズムを解明することを目的とした。平成20年度は、具体的に以下の研究計画を実施した。まず、大小の概念形成の課題(task)を開発した。課題では、形状は同一で大きさの異なる2つの刺激対象を提示し、大きい方、もしくは小さい方を選択させる。また、数種類の刺激対象を用いることで、大小の概念を被験者に抽出させる。次に、大小の概念形成の課題を用いてサルの訓練を進んでいる。訓練の第一段階では、刺激対象は左右とも同じ形状で、大きさのみ異なる。刺激対象の表示位置はtrialごとにランダムで変化する。 大きい刺激対象と小さい刺激対象のどちらを選ぶかを指示するキューがGo-signalとなり、正しい方向ヘレバーを倒せば報酬のジュースが与えられる。エラーの場合報酬は与えられず、課題の開始に戻る。現在一種類の形状で、大きさのみ異なる刺激対象を用いた課題をニホンザル1頭に訓練している。いくつかの形状を学習させれば、前頭前野の46野や9野からから神経活動を記録する。 また、同課題を人の被験者に使えるように現在改造している。動物モテルの研究を進みながら、前頭葉が損傷された患者に概念形成の課題を実行させ、課題遂行に与える影響を詳細に解析することによる概念形成に関与する脳の領域を確認する。
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