4回膜貫通蛋白質M6aは、神経軸索に豊富に存在する事で同定されたが、その機能は未だ不明である。申請者らは、これまでに、1)M6aに抗体が結合すると軸索伸長が阻害されること、2)この軸索伸長阻害は成長円錐の崩壊を伴わないこと、および、3)抗体はM6aの機能を阻害するのではなく、M6aへの結合を介してgain-of-function的に軸索伸長停止反応を誘起することを明らかにしてきた。次の重要な疑問は、この反応の生理的意義である。M6aにはM6bとDM20/PLPという2種類の類似分子が存在し、機能的補償効果が予想されている。実際、M6a遺伝子の単独破壊マウスでは、際だった表現系は見つかっていない。本年度は、M6aとM6bの二重変異体を作製して、脳構造を解析した。その結果、脳梁が際立って細くなっていることがみつかり、このproteolipidファミリー蛋白質が軸索伸長に機能する事が確かめられた。来年度は、この異常についてより詳細に検討すると共に、他の神経系にも異常が認められないか解析する。
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