研究概要 |
網膜視蓋投射マップは網膜内領域特異化、軸索ガイダンス、軸索分枝形成、神経回路リファイメントといった過程を経て完成する。申請者は、これまでの研究から網膜内領域特異化・軸索ガイダンスといった網膜視蓋投射マップ形成の前半過程の分子機構について、CBF2による網膜耳側領域特異化機構を除き、その全容を解明することに成功した。本研究は、申請者が明らかにしたCBF1による網膜内領域特異化の分子機構の解明(Takahashi et al.,Development,2003)と対をなすものであり、網膜視蓋投射マップ形成の前半過程の分子機構を完全に理解する上で必要不可欠なものである。レトロウイルス粒子を用いた遺伝子導入では、CBF2の発現量は低く、導入可能時期が遅すぎるという問題点があった。本年度、レトロウイルスベクターをエレクトロポレーションで導入することにより、発生の早い時期からCBF2を発現させ、かつ発現量を増加させることに成功した。この結果、CBF2の強制発現により、CBF1、GH6、S0Ho1、ephrin-A5の発現が減少し、EphA3の発現が誘導されることが判明した。さらにCBF1の強制発現の場合とは異なり、CBF2の強制発現はephrin-A2の発現に影響しないことも明らかとなった。
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