研究課題
FILIP相同分子とFILIP分子に共通して結合する蛋白質を、免疫沈降法により同定した。この蛋白質は、アクチン線維に結合するミオシンの一種であり、神経細胞発生に深く関与していることが報告されている。FILIP分子とこの結合蛋白質の関係を検討するため、FILIP分子を培養細胞中に強制発現すると、この結合蛋白質の細胞内分布は線維状の分布から細胞内にドット状に分布することを見いだした。以上より、FILIP分子がこの結合蛋白質の局在の調節に関わる可能性を見いだした。いままでに作成した各ドメインを欠損したFILIP変異分子を培養細胞中に強制発現した場合に、細胞骨格に及ぼす影響を評価した。FILIP分子を培養細胞中に強制発現した場合、細胞骨格が短くなり、一般の培養細胞で認められる細胞骨格の形態とは異なることが判明した。しかし、2量体に関与する部位を欠損したFILIP変異分子を強制発現させた細胞では,この細胞骨格に対する作用が弱くなっていることが判明した。FILIP相同分子とFILIP分子に結合する分子に対するshRNAを発現するベクターを作製し、その分子を抑制したときの神経細胞移動に対する影響を検討した。FILIP相同分子とFILIP分子に結合するシャペロンに関与する分子に対するshRNAは、細胞移動に対する明らかな影響を認めなかったが、上記のミオシンの一分子に対するshRNAでは細胞移動の抑制が生じた。今後、この分子とFILIP相同分子およびFILIP分子の相互作用を明らかにし、神経発生に関わる機構を検討する予定である。
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Neurosci Lett. 18 ; 461(2)
ページ: 190-195
J.Biol.Chem. (in press)