研究課題
平成21年度に、FILIPおよびFILIP相同分子は、細胞骨格を形成するアクチン線維と結合するミオシンの一分子と結合することを見いだしていた。当該年度、この結合分子とFILIPおよびFILIP相同分子の結合部位を免疫沈降法により探索した。各種FILIPの断片を強制発現するベクターをCOS-7細胞に導入し、内在性の結合する結合分子が免疫沈降法で共沈するか検討した。その結果、FILIPではドメインとしての報告のない部位がこの結合に重要であることを明らかにした。また、この結合分子の変異分子をCOS-7細胞に発現させ、免疫沈降法でFILIPおよびFILIP相同分子との結合を検討した結果、FILIPおよびFILIP相同分子ともに、この結合分子のN端側に結合する可能性が高いことを見いだした。この結合分子と結合する部位を欠損したFILIPを発現した場合、細胞骨格に与えるFILIPの影響が減弱していることを明らかにし、結合部位が機能に重要であることを示した。FILIPと結合する結合分子は、神経細胞の樹状突起のシナプス形成部位である棘突起の形態に関わっていることが報告されている。初代培養神経細胞にFILIPを発現し神経細胞の形態を観察した結果、コントロールの細胞と比較し棘突起が長くなることを明らかにした。この結果よりFILIPがこの結合分子の機能を調節し、神経細胞の棘突起の形態に関わることを示すことができた。また、大脳皮質の形成では、胎生14日に子宮内電気穿孔法で蛍光タンパク質GFPを導入した脳室帯由来の細胞の分布を生後5日目に検討したところ、FILIP遺伝子欠損マウスとそのコントロールマウスの間に差を認めた。以上より、本研究によりFILIPが中枢神経系で果たす機能の重要性を明らかにできた。
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J.Biol.Chem.
巻: 285(21) ページ: 16155-16165