研究課題
頚髄の特定の運動神経サブグループに特異的に起こる神経細胞死に関わるHox遺伝子を明らかにするために、Hoxc5、Hoxc6に対するウサギおよびモルモット抗体を作成し、運動神経のサブグループを特定するマーカー分子群や細胞死特異的マーカー群との多重免疫染色法を用いて、細胞内の共存関係について検索を行った。また、Hox遺伝子群と共同して働くFoxp1の機能を阻害するウイルスベクタを作成し、機能阻害実験を行った。Hoxc5の脊髄における発現は延髄と頚髄との境界付近から認められ、下方に向かうにつれ多くの運動神経に発現が認められるようになる。一方、細胞死はニワトリのC2セグメントより下方で起こるが、その始まるレベルに一致して、細胞死を起こすLim3(-)の運動神経細胞群内にHoxc5の発現が認められた。また、細胞死マーカーとの共存も確認された。以上の結果はHoxc5の発現が起こることと細胞死との間に関連のあることを示唆する。Hoxc6は頚髄下部で発現が始まり、C13レベルで、細胞死を起こすLim3(-)群での発現が増える。細胞死はC13レベル付近まで認められることから、Hoxc6の発現は細胞死が認められる領域の尾側端に一致している可能性が示された。今後、強制発現実験などで機能の解明を目指す予定である。他にHoxa3、Hoxa5に対する抗体の作成にも成功したが、解析は現在進行中である。Foxp1の機能阻害実験では、Foxp1にengrailedのサプレッサー領域を付加したコンストラクトをレトロウイルスベクターのプラスミドに組み込んだものを作成し、電気穿孔法で頚髄に注入し、細胞死の数に変化があるか確かめた。細胞死数の計数を行ったが、安定した結果が得られず、今後導入条件の再検討を行う予定としている。
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Eur J Neurosci.
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Hum Gene Ther
巻: 22 ページ: 197-206
http://www.fmu.ac.jp/kenkyu/Profiles/7/0000657/profile.html