研究課題/領域番号 |
20500324
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山口 尚宏 長崎大学, 病院消化器内科, 助教 (40432976)
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研究分担者 |
上園 保仁 国立がんセンター研究所, がん患者病態生理研究部, 部長 (20213340)
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キーワード | プリオン蛋白質(PrP) / Doppel(Dpl) / Shadoo(sho) / 神経変性死 / 代謝型グルタミン酸受容体 / mGluR1 / 細胞内Ca2+オーバーロード / 免疫沈降 |
研究概要 |
本年度はまずShadooの抗体を作成し、プリオン持続感染N2a培養細胞(22L)でShadooが発現しているかどうかを確認したところ、発現はほとんど見られなかった(Dplはほとんど発現していないことを以前に確認している)。そのため、22L感染細胞にDplとShadooを強制発現させて、異常型プリオン蛋白質(PrPSc)の量を比較したところ、Dplを発現させた場合は発現させてない場合と変わりはなかったが、Shadooを発現させたところPrPScの量は増加傾向にあった。よってShadooは神経細胞においてプリオン病の進展を促進させている可能性がある。マウス個体での結果は既に報告されているが、プリオン感染マウスの脳では非感染のマウスに比べてShadooの発現は低くなっていた。これはShadoo発現細胞においてPrPScの蓄積が促進されたため神経変性死が起きた、と考えればつじつまがあう。次にCa2+と神経変性についてのin vivoの検討であるがNgsk PrPノックアウトマウスにおいてCa2+の濃度がプルキンエ細胞死と関連があるかを調べるためにDplの過剰発現マウスとPrPノックアウトマウスを掛け合わせたマウスの大脳と小脳のPKAとPKCを測定したが差が見られなかった。これは脳には多彩な細胞が存在するため影響が見えにくいのかと考えこれらのマウスの脳からプルキンエ細胞のみを培養しようと試みたが、ノックアウトマウスの脳からの培養は成功しなかったため検討できなかった。これらの結果より正常型プリオン蛋白質はCa2+代謝になんらかの影響をしており、それはプリオン病の病態にも影響している可能性がある。
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