ブルーリ潰瘍(M.ulcerans感染症)における末梢神経障害の解明

2010 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 20500325
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 神経解剖学・神経病理学
• 研究機関: 鹿児島大学
• 研究代表者: 後藤 正道 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 研究員 (80325779)
• 研究協力者: 圓 純一郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 研究員 (30587879)
• 研究期間 (年度): 2008 – 2010
• キーワード: ブルーリ潰瘍 / 筋・末梢神経疾患 / 抗酸菌による末梢神経障害

研究概要

ブルーリ潰瘍は、抗酸菌M.ulcerans感染による痛みのない皮膚潰瘍であるが、病変に痛みがない原因は不明であった。M.ulceransが産生する毒性脂質mycolactoneをマウス足底に注射すると、局所に知覚過敏の後に知覚鈍麻がおき、末梢神経にシュワン細胞の膨化と壊死が起こった。また、培養シュワン細胞にmycolactoneを投与すると、シュワン細胞の壊死とアポトーシスが起こった。さらに、ヒトの治療前後の皮膚生検組織でも神経の変性所見を見出した。これらの研究結果から、ブルーリ潰瘍の無痛性はmycolactoneの細胞毒性に起因することが明らかになった。

研究成果

• [雑誌論文] ブルーリ潰瘍(Mycobacterium ulcerans感染症)の神経傷害におけるMycolactoneの役割 (2011)
  • 著者名/発表者名: 圓純一郎, 石井則久, 後藤正道
  • 雑誌名: 日本ハンセン病学会雑誌 Vol.80,No.1 ページ: 5-10
  • 査読あり
• [雑誌論文] Small : Mycolactone is responsible for the painlessness of Mycobacterium ulcerans infection (Buruli ulcer) in a murine study. (2008)
  • 著者名/発表者名: Junichiro En, Masamichi Goto, Kazue Nakanaga, Michiyo Higashi, Norihisa Ishii, Hajime Saito, Suguru Yonezawa, Hirofumi Hamada, Pamela L.C.
  • 雑誌名: Infection and Immunity Vol.76,No.5 ページ: 2002-2007
  • 査読あり
• [学会発表] Cytotoxic effect of mycolactone produced by M. (2011)
  • 著者名/発表者名: Masamichi Goto, Junichiro En
  • 学会等名: ulcerans, Annual Meeting of the WHO Global Buruli ulcer Initiative
  • 発表場所: Geneva, Switzerland
  • 年月日: 2011-03-29
• [学会発表] Murine and human histopathology of Buruli ulcer (M.ulcerans infection) after chemotherapy (2010)
  • 著者名/発表者名: 後藤正道, et al.
  • 学会等名: 45th U.S.-Japan Tuberculosis and leprosy conference
  • 発表場所: Boston, USA
  • 年月日: 20100713-20100715
• [学会発表] ミャンマー国Central Special Skin Clinic (CSSC) Yangon General Hospital におけるEMGトレーニング報告(第1報) (2010)
  • 著者名/発表者名: 圓純一郎、後藤正道, 他
  • 学会等名: 第83回日本ハンセン病学会総会
  • 発表場所: 鹿児島
  • 年月日: 20100528-20100529
• [学会発表] Comparison of murine and human histopathology after chemotherapy. (2010)
  • 著者名/発表者名: 後藤正道, et al.
  • 学会等名: Annual Meeting of the WHO Global Buruli ulcer Initiative
  • 発表場所: Geneva, Switzerland
  • 年月日: 20100321-20100323
• [学会発表] Anslysis of pure neural leprosy in Myanmar. (2009)
  • 著者名/発表者名: Kyaw Kyaw, Masamichi Goto, et al.
  • 学会等名: 44th U.S.-Japan Tuberculosis and leprosy conference
  • 発表場所: Fukuoka
  • 年月日: 20090729-20090731
• [学会発表] ミャンマーにおける純神経型ハンセン病の皮膚病変 (2009)
  • 著者名/発表者名: 後藤正道, 他
  • 学会等名: 第50回日本神経病理学会総会
  • 発表場所: 高松
  • 年月日: 20090604-20090606
• [学会発表] ミャンマーにおける純神経型ハンセン病の検討(第3報) (2009)
  • 著者名/発表者名: 後藤正道, 他
  • 学会等名: 第82回日本ハンセン病学会総会
  • 発表場所: 出雲
  • 年月日: 20090514-20090515
• [学会発表] ハンセン病の運動麻痺に対する総合電流刺激装置(EMS)を用いた治療法の検討 (2009)
  • 著者名/発表者名: 圓純一郎、後藤正道, 他
  • 学会等名: 第82回日本ハンセン病学会総会
  • 発表場所: 出雲
  • 年月日: 20090514-20090515
• [学会発表] Mycolactone is responsible for the pailessness of Mycobacterium ulcerans infection (Buruli ulcer). (2008)
  • 著者名/発表者名: Junichiro En, Masamichi Goto, et al.
  • 学会等名: 43rd U.S.-Japan Tuberculosis and leprosy conference
  • 発表場所: Baltimore, USA
  • 年月日: 20080708-20080710
• [学会発表] Mycobacterium ulceransによる神経障害の研究-Mycolactoneの役割について- (2008)
  • 著者名/発表者名: 圓純一郎、後藤正道, 他
  • 学会等名: 第42回日本作業療法学会
  • 発表場所: 長崎
  • 年月日: 20080620-20080622
• [学会発表] 純神経型ハンセン病の皮膚はハンセン病の保菌状態を示すか(第2報) (2008)
  • 著者名/発表者名: 後藤正道, 他
  • 学会等名: 第81回日本ハンセン病学会
  • 発表場所: 熊本
  • 年月日: 20080522-20080523
• [学会発表] 適切な訓練と装具を用いることによって手の機能改善ができたハンセン病後遺症の一症例 (2008)
  • 著者名/発表者名: 圓純一郎、後藤正道, 他
  • 学会等名: 第81回日本ハンセン病学会
  • 発表場所: 熊本
  • 年月日: 20080522-20080523
• [学会発表] Pathological findings of Buruli ulcer lesions during antibiotic treatment. (2008)
  • 著者名/発表者名: Junichiro En, Masamichi Goto, et al.
  • 学会等名: 10th Annual meeting of the Global Buruli Ulcer Initiative
  • 発表場所: Geneva, Switzerland
  • 年月日: 20080331-20080403
• [図書] ハンセン病、新臨床内科学第9版(分担執筆)(高久史磨ら編集) (2009)
  • 著者名/発表者名: 後藤正道
  • 総ページ数: 1335-1336
  • 出版者: 医学書院、東京
• [図書] Mycobacterium ulcerans subsp.shinshuense、非定型抗酸菌の基礎と臨床(分担執筆)(斎藤肇ら編集)
  • 著者名/発表者名: 中永和枝、石井則久、斎藤肇、後藤正道、岩本朋忠
  • 出版者: 医薬ジャーナル社、大阪、印刷中
• [備考] ホームページ等
• [備考] ブルーリ潰瘍のウェブアトラス(英文)
  • URL: http://www.siapec.it/index.php?Mod=Pagina&Pagina=2747&ENG=1