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2010 年度 実績報告書

脊髄性筋萎縮症関連遺伝子の発現の調節

研究課題

研究課題/領域番号 20500326
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

鹿島 剛  東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30459622)

キーワードRNA干渉 / RNA結合蛋白質 / 翻訳制御 / mRNAの安定化 / スプライシング / 脊髄性筋萎縮症
研究概要

これまでの結果を応用して、SMA患者由来の線維芽細胞にて、hnRNP A1及びA2に対するRNA干渉を誘導して、SMNの発現に及ぼす効果を解析した。hnRNP A1に対するRNA干渉効果より第7エクソンのmRNAへの取り込みが促進し、従ってSMNの発現量も増加した。A2に対するRNA干渉作用の結果、A1に対すると同様に第7エクソンのmRNAへの取り込みは促進したが、SMNの産生量は逆に減少した。このA2に特異的なRNAiの効果は、hnRNPA2によるSMNのエクソン7のスプライシング以外のプロセスでの関与を示唆している。A2に対するRNAi作用は、細胞周期の観察から、細胞増殖の速度を遅くしている結果が得られた。また、転写活性を測定する実験結果より、A2に特異的なRNAi作用によってSMN2遺伝子からの転写活性に対する特異的な抑制効果は見られなかった。又,RNAの安定化の実験から、SMNのmRNAへの安定化への影響は見られなかった。AHAのパルスラベル法による実験から、SMNの産生の減少は、翻訳レベルでの調節の関与が示唆された。細胞質抽出物よりA2蛋白質を含む複合体を精製すると、SMN2のmRNAの含有が確認された。この事は、A2とSMN2のmRNAが直接相互に結合していることが示された。以上の結果より、hnRNPA1に対するRNA干渉作用は、エクソン7のスプライシングの活性を促進し、その結果としてSMNの産生の増加を促す。この事は、A1に対するRNA干渉作用は直接SMAの治療に応用できることを示唆している。一方、A2に対するRNA干渉作用は、第7エクソンのスプライシングの活性を促進するが、A2を介した翻訳レベルでの制御が低下するため、SMNの産生は減少する。この翻訳レベルでのA2とSMNのmRNAとの直接の分子間相互関係は、新たな分子標的として創薬のチャンスを提供している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] RNA病としての脊髄性筋萎縮症2010

    • 著者名/発表者名
      鹿島剛
    • 雑誌名

      細胞工学 特集RNAプロセシング異常;RNA病を斬る

      巻: Vol.29 ページ: 149-153

  • [学会発表] hnRNP A2 Modulates SMN Synthesis at Translation Level.2010

    • 著者名/発表者名
      Kashima, T., H.Yamada
    • 学会等名
      第33回日本分子生物学会年会,第83回日本生化学会大会 合同大会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      20101207-20101210

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公開日: 2012-07-19  

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