1)顆粒供給における細胞骨格系蛋白質の役割 ミオシンATPアーゼの阻害が、開口頻度の持続性、ならびに顆粒運動と顆粒の分布に及ぼす影響を、アンペロメトリー法による開口イヴェントの測定解析、および走査型電顕観察(イタリアにおける共同研究)によって検討した。ミオシンATPアーゼの阻害は、開口イヴェント上で明確に顆粒供給の低下をもたらした。この顆粒供給の低下は、形質膜直下に局在する顆粒の立体的分布に影響を及ぼし、明らかな顆粒数の減少を伴うことが明確になった。また、ミオシンIIとミオシンVでは、顆粒供給と開口頻度の持続性、および顆粒の動態への関与が異なることを明らかにした。このことは、いわゆる貯蔵プール(Reserve Pool)から放出可能な顆粒のプール(Releasable Pool)への顆粒供給が物理的な顆粒の細胞内移動に由来し、モーター分子としてその過程にはミオシンVが特徴的に働くことを示唆している。 2)SNARE蛋白質を補完する蛋白質の役割 SNARE蛋白質など機能分子のノックアウト-、またはノックイン-マウス由来の副腎髄質細胞を実験系として解析が可能となったので、これらのノックアウト-、またはノックイン-マウス由来の分散細胞を用いて解析を進めた結果、CAMK IIとシンタキシンの結合障害が開口確率を低下させることが示唆された。このとき、SNARE蛋白質複合体の形成がどのように影響されるのか、又、どのようなメカニズムで開口確率が低下するのかが、今後の課題である。
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